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バランスのとれた評価・処遇のしくみ社員が短時間社員制度を利用しようとする際、昇進・昇格といった評価面や、賃金・退職金などの処遇面において、他の社員よりも不利に取り扱われるのではないかという懸念を抱くおそれがあります。
こうした懸念を払拭するためには、短時間社員への移行が評価や処遇に与える影響をできるかぎり抑えることが必要です。
あるいは、他の社員と差がつく場合にも、短時間社員の納得性を高めるための制度設計や説明を実施していかなければならないでしょう。
また、短時間社員は短時間しか勤務しないという点ではパート社員と同じであるため、仕事内容も両者で同様になりがちです。
仕事の内容がさほど変わらないのに、短時間社員とパート社員のあいだに、評価の方法や処遇に関して格差がある場合には、パート社員の就業意欲が低下してしまいます。
こうした問題を解消していくには、短時間社員とパート社員との役割のちがいを明確にして、それを反映した業務分担を行うことや、逆に格差を埋めていく施策として、パート社員から社員への登用制度を積極的に運用することが求められます。
以下では、裁量労働制や短時間社員制度と同様、企業が直接雇用する社員の多様な勤務形態のつとして実施されているテレワークについて取り上げます企業に勤める社員がテレワークを行う場合、勤務場所は自宅や顧客の事業所などとなります。
社員が会社にまったく通勤することのないテレワークのことを「完全テレワーク」、会社への通勤と会社以外の場所でのテレワークとを併用することを「部分テレワーク」と呼び、現在、企業で実施されているテレワークのほとんどは、部分テレワークです。
企業がテレワークを導入する目的をY13にまとめました。
これによると、最も多くの企業が指摘している導入目的は、社員の通勤時間の短縮・効率化です。
テレワークによって通勤が不要となり、通勤時間を短縮することができれば、通勤時に社員にかかるストレスが軽くなります。
また、社員は通勤にあてていた時間を仕事に割くことができます。
その結果、職場や会社としても、業務を効率的に進めることができるというメリットが生まれます。
さらに社員が通勤する必要性を小さくすることにより、通勤の負担が大きい障害者や高齢者の雇用を進めやすぐなります。
また、テレワークによって通勤時間の短縮や勤務時間帯の自由な設定ができれば、社員は、育児や介護、あるいは社外での自己啓発機会への参加など、仕事以外の活動にも時間を割くことが容易になるものと考えられます。
この場合、短時間社員制度と同様に、育児・介護支援、自己啓発支援の機能をテレワークがもつこととなります。
短時間社員のところで説明したように、育児・介護や自己啓発の支援は、育成に時間をかけた社員の流出防止、就業意欲の向上、企業の採用力の向上につながります。
営業・販売職社員を対象としたテレワークの導入における主要な目的とみられます。
営業・販売職の社員が、会社で管理している顧客情報の活用や社内における手続きなどの事務業務を、会社に出勤する必要なくテレワークを通じて行うことができれば、出勤のための時間を顧客の訪問に回して、顧客の要望にきめ細かく対応することが可能となります。
このほか、企業にとってのテレワーク活用のメリットとしては、出勤者の減少にともなって社員のための設備やスペースを節約することで、オフィスを運営するためのコストの低減や、他の用途へのスペースの転用をはかることができる、といった点が挙げられます。
テレワークは、製造・開発業務のように仕事を進めるうえで会社の設備に依存しなければならない業務や、社内において社員問のコミュニケーションが頻繁に必要となる業務でなければ、導入することが可能です。
もっとも業務の性質上、導入が可能であっても、その業務の担当者によっては、テレワークを認めることが必ずしも適切でないことがあります。
テレワークの形態で業務が行われる場合、仕事の進めかたは社員の裁量に大きく委ねられています。
こうした状況のもとで、会社が期待する成果を上げるのは、その業務の経験が豊富で、しかも進捗管理まで任せてよいだけの実績をもつ社員でないと困難です。
社員を対象にテレワークを導入しているあるメーカーの例では、担当する業務が自宅で可能な業務であることに加えて、勤続年数や職位が定以上であることをテレワークの要件とし、さらに、それまでの勤怠や業務遂行の実績で、最終的に承認するかどうかを判断しています。
テレワークでは、インターネットなどの情報通信インフラを通じて、会社と社外にいる社員とのあいだで適宜、業務に関する指示・連絡・報告がなされます。
そのため、企業により管理きれている情報が、社外へと流出することを防ぐための施策が不可欠です。
たとえば、社員がテレワークを行っているときに利用できる社内情報の制限や、もち出した情報の取り扱いに関するルールを策定して就業規則などに盛り込むといったことなどが、そうした施策として考えられます。
また、テレワークを実施する場合、情報通信インフラ以外の社員の就業環境は会社の目につきにくく、適切な環境で働いているかどうかの点検がおろそかになりがちです。
業務効率の低下や、労災の発生といったデメリットを防ぐためには、テレワークを行う社員の就業環境について定期的に点検し、必要な措置を講じなければなりません。
点検が必要な項目の選定にあたっては、厚生労働省が二○○二年四月に発表した『DT作業における労働衛生管理のためのガイドライン』などが参考となります。
社員のテレワークが週あるいは月単位の長期にわたるときには、進捗状況の報告・管理に関する制度を整備しなければならないほか、会社として職場の上司や他の同僚との関係が悪化し側在宅勤務の適切な活用に向けて社員が行うテレワークのうち、自宅を主な勤務場所とする在宅テレワークは、単に「在宅勤務」と呼ばれることのほうが多いようです。
本書でも、ここから先は社会的により普及している表現にならい「在宅勤務」と表記することとします。
なお、章で取り上げた「在宅就業」も、在宅テレワークの種ですが、就業者が企業と雇用関係をもたないという点が、在宅勤務とは異なっています在宅勤務は、労働者が仕事と生活の調和をとりつつその能力を発揮し、さらに企業の生産性向上を実現することがないように配慮し、テレワークを行う社員が抱きがちな評価に対する不安、疎外感、孤独感などに対応することが求められるでしょう。
できる理想的なワークスタイルとして、社会的に評価されつつあります社員の勤務時間帯と日常生活時間帯が混在していることから、多くの企業は人事管理上の対応が難しいと考え、これまで導入をためらってきました。
また、社員側にも評価面を中心に、自らが在宅勤務の形態で働くことに対する不安があります。
そこで、厚生労働省は、適切な就業環境のもとで在宅勤務を進めていくための目安として、二○○四年三月に『情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン』を発表しています。
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